女好き

昨夜のNHKでは、今年でその歴史が終わる「新宿コマ劇場」のドキュメンタリーを放送していた。我が家の食卓では、沈黙が続く。
私は思わず画面に見入ってしまった。

北島三郎がメインで番組は進行する。なので、どうしても「演歌」歌手が多く登場する。
見ていて、聞いていて、ハラハラした。

「演歌」は、酒と男と女なのだ。それぞれ座長を務めた歌手の代表曲には大抵、「酒と男と女」が出てくる。驚くほど。

私は心配になった。チャンネルを変えようかと思う。8ヵ月間、断酒をしている父が…これらの歌で「アルコール」を欲しはしないか。父の表情は変わらず…それは杞憂に終わったのだけど。

そして、気付いた。

私は幼い頃から、越路吹雪のシャンソンを聞いて育った。母が熱烈なファンだった。父は、リサイタルのチケットを手に入れるため、年に二度のリサイタルの度、始発の電車で日生劇場に向かう。
画を描く父のアトリエから、甘く切ないシャンソンが流れている。父のアトリエの真下に私の部屋があったせいで、今でもシャンソンを耳にすると…油絵の具の匂いと、亡くなった母を思い出す。

シャンソンを勉強したいと思ったことがある。
けれど、「シャンソンは『不幸な愛の歌』が多いから、絶対に駄目よ」と、ある人に止められた。歌う本人にも、愛の不幸がうつるのだと。うーん。確かに越路吹雪も56歳という年齢で逝った。
自分の幸運を願う私の「夢」は、仮説の「不幸」に負ける程度の憧れだった。

けれど、確かに「哀しい愛の歌」は多い。
そして、男と女。

演歌とシャンソンは同じものなんだ。凄い発見をしたような気分でTV画面を見ていたけれど、そんなことは分かり切った事実なのかもしれない。



カクテル



お昼過ぎ、二泊三日の外泊を終えた父を病院に送る。
院内に入る。すると、あれほど私に八つ当たり、理不尽な態度をとっていた父の表情が笑顔になった。

え?あんなに大嫌いな病院なのに?

「お父さん、もう、可愛いんだから」

そう、父の担当看護師が言った。

「お帰りなさい ポコちゃん
「ただいま ほっ

へえ…。

50歳を少し過ぎたくらいの看護師さん。スゴイ美人…ではないのだけれど、洒落がきいている。闊達な印象の明るい笑顔を見せる女性。

「もうね、『僕がもう少し若かったら、押し倒しちゃうんだけどな』なんて言うのよ。お父さん ウインク絵文字名を入力してください

やるね!77歳でも侮れない!

「ゴメンなさい!父ったら!セクハラですよね!」

「いいのよ。ジジイだから」

そう言って、彼女は又、ケラケラと笑った。

嫌な感じを与えない。本当に愉快そうに、仲良しがゆえの「軽口」といった感じ。

なあんだ。楽しそうじゃない。だったら、ここに居ればいいのに。帰りは主人とハイタッチ!私とは、一瞬ためらった様子だけれどハイタッチ!看護師さんともハイタッチ!

なのに又、病院を後にした一時間後、携帯が鳴る。
「いつになったら退院出来るんだ!」

うーん 絵文字名を入力してください 楽しそうだから、勝手にすればいいんじゃん?
二日に渡り、八つ当たりされた私は心の中で呟いたのでしたうーむ



2008/12/24 03:52 | 父のことCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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