喪服の夜

冷たい雨が降りしきる。その雨音は、止むことがない。

昨日の朝、メールの着信音で目が覚めた。そこには、高校時代の友達のママが亡くなったのだと書いてあった。本当に本当に驚いた。
彼女のママが体調を崩しているなんて聞いていなかったし、何事もなくお元気に過ごしているとばかり思っていたから。

私は13歳の時に母を亡くした。あの日のことは、今でも映像として記憶にある。
秋の庭と母の棺…その二つが鮮明に頭に浮かぶ。
母を亡くす辛さは、痛いほど分かる。あの時の「痛み」が甦る。

私が過ごした高校時代。厳しい校風で有名な女子校だった。「良妻賢母」がテーマの高校には「お作法」の授業がある。20年前の女子高生。素直で素朴な、女子高生。

そんな中で異彩を放つ私達。あの校風の中では、かなり浮いていただろう。
強烈な個性を持った者同士、三年生の時に同じクラスになった。気付くと、その5人はいつも一緒に時間を過ごす。大抵は、何が可笑しいのか…ただただ笑っていた。愉快だった。

高校を卒業して社会に出て。20代半ば頃からそれぞれに伴侶を得て、結婚してゆく。
結婚式で、私達は「菊組歌劇団」を結成した。(三年生の時のクラス名が「菊組」だったのだ)
主役以外の皆で「すみれの花咲くころ」を歌って、花嫁を送り出す。
それは儀式になっていて、司会はいつも私だった。
44歳で、最後に結婚した私の時も、司会は「Natsuがやるように」と言われ、どこまでこの仲間はオカシな人達なのだろうと思った。
皆、この笑顔の後は泣き顔になるのだけど



笑顔



そんな仲間のママのお通夜。

強い雨。冷たい雨。彼女の顔を見たら、きっと泣いてしまうと思った。けれど、笑顔で迎えてくれた。

「いいのよ。昨日、もう十分泣いたから」

嘘だと思った。湿っぽくなるのを気遣い、笑顔を見せている。

「昨夜はママと二人で寝たんだ」

彼女の言葉に打たれた。父親をとうに亡くしている彼女は、とても母親を大切にしていた。

そういう歳になったんだね。私達も…。

お焼香を済ませると、皆でお寿司やお酒を頂く。そして又、高校時代を懐かしみ、馬鹿みたいに笑い合う。それがママへの供養になると思ったから。
ママは、皆のママだった。

年に一度は集う私達。今年の夏は何十年かぶりで、一泊旅行に出掛けた。その夜も、一晩中笑っていた。勿論、それぞれ、家庭の事情で翻弄されている場合もある。
けれど…この仲間に会うとき、私達は「高校時代」に戻るのだ。

涙が浮かぶ。けれど、これからも「今夜のような時」は来る。親より長生きするのが、子供としての親孝行だから。

ママのご冥福を、心からお祈りします



2008/12/10 05:20 | 友達のことCOMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

daria様

そうなの。ママの為に賑やかにしようねって。
普段は遠慮の無いことばかり言う、騒々しい人達なんだけど。やっぱり高校生の時からの友達は、人生の伴走者って感じなのかな。もう、見届けるって感じかな。有難いよね。
気が済むまで、ママを見送れた感じ。ママはもう、天国にいるのかな?

No:246 2008/12/12 03:32 | Natsu #- URL編集 ]

Re: 喪服の夜

ママ、きっとそばで楽しそうに見てただろうな。
良い友達たちだ・・・
いいことは何倍にも、悲しいことは何分の一にも。傍にいてくれるだけでいいことがあるね。

No:242 2008/12/11 21:03 | daria #- URL編集 ]

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