震度6 - その日の記録 -

14:46 地震発生時。

その時、私は二階の部屋でPCに向かっていた。

ゆらゆらとした不思議な感覚を身体に感じる。
身体全体が、地面に引きこまれていくような「磁力」。

その瞬間、部屋は揺れ始めた。
前面に倒れこれんでくるPCを右手で押さえながら、私は後ろの壁にある本棚を凝視していた。

部屋のドアが揺れている。
石油ファンヒーターは、大きく揺れると「自動停止」となる。

長かった。この感覚が身体から抜けることはないと思う。そうだ、船酔いの感覚なのだ。

…治まった。ああ、驚いた。まるで電車かバスに乗っているようだった。
そうだ、ニュースを見てみよう。

そして、TVのある隣りの部屋に移った。

家の外では「大変なこと」が起きているらしい。

と、思った瞬間にTVキャスターが叫んだ。

「縦揺れです!縦揺れです!落ち着いて行動して下さい!」


「この時」が、ついに来たのだと思った。生まれて初めて経験する「縦揺れ」
けれど、それは程なく治まった。…その後。私は右手でテーブルに掴まりながら、振動に耐えていた。

長く長く感じる揺れ。最初に感じた揺れよりも、二回目の余震が過ぎた頃から心臓がドキドキし始める。
何が起きているのか。恐くて一人では階下には降りられずにいた。


一人、携帯のボタンを押し続ける。
何度押しても繋がらない。メールも駄目、通話も駄目、Twitter にも繋がらない。

では、私はこの部屋に一人?

そんな不安に押し潰されそうな頃、インターホンがなった。
見ると、夫の両親の顔が映っている。
私はようやく安堵して、子供のように泣いてしまいそうになった。


16:45  お互いの無事を確認した頃。ようやく「5件」のメール着信を知らせる音が響いた。

夫からのものだった。
 「無事ですか?返信下さい」

その他は友人たちからの、安否を問うメールだ。腰から力が抜けていく。


夕方を過ぎて、余震の続く中、夫がやっと帰宅した。
お互いの無事を確認をして、悲惨な現状が映し出されるTVの画面を見つめる。

けれど、夫は会社に残った「同僚」のことが気になって仕方ない。

「会社に電話をしてみたら?家で心配しているよりも、ずっと気が楽になると思うよ」

すると、夫は会社に戻ると言い始めた。
交通機関が一切断たれた状況で、会社に留まっている同僚を送っていくつもりらしい。
うん、私もそれが良いと思う。ここで、ただ心配しているよりも。


19:00 夫が家を出る。

19:36 「エリアメール」 けたたましい携帯の音が鳴り響く。

「緊急地震速報 福島県沖で地震発生。強い揺れに備えて下さい(気象庁)」

同時に、TV画面では「安藤優子」が叫ぶ。
「今、これから強い地震が来ます。すぐに机の下にもぐって下さい!」

ヨロヨロと机の下にもぐりこむ。…先客がいた。
ショコラとコナちゃん。
そうね、こういう時にお手本にするべきはアナタ達だと思う。

けれど。
この一件が、私を逼迫させた。手元にある携帯は、殆どと言っていいほど使い物にはならない。
TVだけが情報源であるというのに、映し出される映像は悲惨なものばかり。惨状を思い、被害に遭った方を想うと不安ばかりが募って動揺する。

19:00に家を出た夫は、23:00になってもまだ、戻らない。心配と不安が押さえられなくなった私は、とうとう彼の勤務先に電話をした。
事故にさえ遭っていなければ…。夫の様子を知りたいだけの電話だった。


「彼は、同僚を車で送りに行ってくれました。道路が停電で、手信号などの事情もあって…渋滞しているのかもしれません。助かっています」

夫の上司のその言葉を聞いて、それまでの不安は一度に消えた。
無事ならば良い…ただ待てば良いのだから。

その電話をしている時に、明るい声が玄関から響いた。

「ただいまー」

夫の留守中は、度重なる余震と、TVの映像に身の震える思いでいた。
まんじりともせず、リビングに一人、携帯を握りしめていた。
声を聞いて、身体の力が抜けていく。

聞けば、「道路の信号はところどころが停電していて、その機能を失っていた。代わりに、警察官の手信号に従ったんだよ」…と。

想像を遥かに超えた非常事態の夜になった。



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地震発生と同時に流れる壊滅的な映像。目にする度に胸が痛みます。
未だに、現実に起きたことだとは信じられない思いです。

被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
一人でも多くの命が救われますように…。




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2011/03/12 08:00 | 東北地方太平洋沖地震COMMENT(10)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

nako様

nakoちゃん!ご無事で何より!でした!
一人で居る時じゃなくて良かった!皆でいれば安心出来るし…。
あんなにも、携帯電話が「役に立たない」物であるのだと言うことを実感した「長い一日」だったわv-356

こういう時、「文化」の仲間は有難いよね。ただね!私のblogの「輸血」のエントリーのコメント欄を読んで!
いつか、「野上流接待」を受けて頂こうと…策を練っているのよ。この作戦、nakoちゃんも乗ってくれるよね^^;!

No:3844 2011/03/17 03:26 | Natsu #- URL編集 ]

奈津さんの当日のドキュメントを読んでどんなに怖かっただろうと、それは想像以上の思いだったと思います。
本当に奈津さん、旦那様ご無事で良かったですね。

私は休暇を取って知人達とある集まりに参加していて、夜はその施設に泊まらせて頂き難なく翌朝帰りました。

王様からも生存確認のメールを頂き、本当に嬉しかったです。

余震が時々ありますが、どうかどうか無事でいて下さいね。

No:3840 2011/03/16 11:31 | nako #- URL [ 編集 ]

eaubelle 様

eaubelle さんこそ!ご無事でしたか!
時々お邪魔していたのですけれど、コメントも残さずにいてゴメンなさい。
いらして頂けて嬉しいです。

被災地の、いたたまれない映像を見ていると…夜が恐くなってしまいますね。大きな力…自然の脅威に震えるばかりなのですが…。

eaubelleさんも、どうかどうか、ご無事でお過ごし下さいね。頑張りましょうね!

No:3839 2011/03/14 22:58 | Natsu #- URL編集 ]

アンナ様

地震直後のあの時よりも、今、精神的に参っているのは「余震」と「計画停電」です。
勿論、東北地方の被災者の方達の比ではないことは承知しています。

「エリアメール」の存在にも精神的に逼迫します。何の前触れもなく、いきなりの大音量で携帯のブザーの警告音が響きます。本当に心臓に悪い…。
今は、せめて「コメント」のお返しをすることで、精神の均衡を保っている気がしています。

なので、いつもお気遣い頂いて…本当に感謝なのです♪

No:3838 2011/03/14 22:52 | Natsu #- URL編集 ]

かすみ様

この日記、とっさに「書き留めておかなくては!」と思ったものなのですが…。
出掛けたきり戻ってこない夫には、心配を通りこして深い溜め息が出ました。

日を追うごとに、目を覆いたくなるような光景が映像に映し出されます。「日本」を愛し、信じたいですよね。

No:3837 2011/03/14 22:45 | Natsu #- URL編集 ]

ぴなた様

ご心配を有難うございます。

生きていると…こんなことを経験する日が来るのですね…。TVの画面を見ていると辛くなりますね。
皆さんの無事を願うばかりです。

No:3836 2011/03/14 21:32 | Natsu #- URL編集 ]

無事でなによりです。
ご主人のご両親、心配で来てくださって、心強かったですよね。
関東でさえ、通常のモードになるには時間がかかるようです。
余震も続いていますし、気をつけてお過ごしください。

No:3829 2011/03/14 18:48 | eaubelle #Vjc6dIcI URL [ 編集 ]

奈津さん、大変でしたね
お二人はご無事でホントによかった!
被害が大きくて驚きました。
余震も続いていますから、不安でしょうね
これ以上なにも起こらないようにお祈りしています

No:3828 2011/03/12 16:59 | アンナ #gg2deisU URL [ 編集 ]

立て続けの揺れの中、一人でいる恐怖…
考えただけで、落ち着いていられなくなります。

余震の続く状況で、同僚の方々を送り届けたご主人は
素敵ですね。

お二人が無事で、本当に良かったです。

No:3827 2011/03/12 14:41 | かすみ #- URL [ 編集 ]

ご無事でなによりです。
本当によかった!

No:3826 2011/03/12 12:12 | ぴなた #gFXHIlXM URL [ 編集 ]

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