嫌われる勇気

二泊三日の外泊も終わりの時を迎え、父は入院先の病院へ戻る支度を始めた。

「あああ~、戻りたくないなぁ。いつになったら退院出来るのかなぁ…」

気持ちは分かる。痛いほどに。
夫は二年間(その間に10回の手術を経験)の入院。
私は三ヵ月の入院で、ベッドから一歩でも動くことを禁じられた時期が一ヵ月。入院とは、狭いコミュニティの中で人間関係も上手くやっていかなくてはならないし…意外と気苦労も多いものだ。

後は「絶対的な規則」の中での生活。例外は認められない。

身体だけでもシンドイのに、他の患者にまで気を遣っていられるかい!と言うのが本音。でも、どうしても「共同生活」なのだから、周りへ気遣いしながらの入院生活となる。(個室に入れるほどの経済力があれば別だけれどねアイコン名を入力してください

そんな中。

父と夫と三人で、病院に戻る途中…入院生活に必要な買い物の為にスーパーマーケットに寄る。
私は車の中で待っていたので、父の買物の内容は知らずに居た。戻ってきた夫が私に耳打ちする。

「お父さん、煙草買っていたよ」

なにぃ~!!!

父はアルコール依存症ではあるけれど、煙草は一切吸わない。
仲良しになった患者さんへのお土産のようだ。けれど、その様な行為は一切禁じられている。気持はわかるけれど。私も同じことをするかもしれないとは思うけれど…。
自分だけ外泊を許される後ろめたさ。家族の居ない患者さんに対して、何かしてあげよう…と思ったのだろう。

何でも物事を穏便に済ませたい私だけれど、「最初が肝心!」と心を鬼にした。
病院に着き、コッソリと煙草だけを自分の病室に隠しに行った父。

その間に、主任看護師に事情をお話した。

「まぁ、それはいけませんね…。○○さんを呼びましょう」

げ。

うわー、対面式は苦手だわ。どうしよう。でも、しっかりしなくちゃ。最初が肝心。

すると、父のお友達は「私がお願いしました」と言って下さり、謝罪してくれた。
問題は、父だ。

「もう、お前達の世話には二度とならん。何も頼まない。今後一切、見舞いに来なくてよい」

まぁ、これが我が家の定番だった。看護師に対しても「自分は納得出来ません」とキッパリと言っている。結局、父と私は物別れに終わり、恒例の「ハイタッチ」をせずに…お互いの視線を合わせずに背中を向けた。

そこには「自分」が居るような錯覚に陥った。我が儘で人に依存することを当たり前に思う。甘やかしてくれる人には、徹底的に甘える。…私だ。やっぱり私は父のコピーだった。

夫と結婚しなければ、私は変わることが出来なかったと思う。問題をなぁなぁにする。「事なかれ主義」。

初めてかもしれない。決別したまま、父と別れるなんて。
けれど今、清々しい気持ち。

「甘えるのもいい加減にしろ!アンタの面倒を見る為にこっちは生きてるんじゃ無いんだよ!」

こんな胸の内が一気に爆発した。早く元気になって欲しい。元のウィットに富んだ父に戻って欲しい。画を描いて欲しい。


父と娘



「子の心、親、知らず」
「老いては子に従え」

父には本当に気の毒だと思うのだ。許せよ、父。




2008/11/29 16:13 | 父のことCOMMENT(2)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

ゆみこ様

放っておけたら、これまでこんなに苦労はしないよねe-263
放っておけない親子関係なので、ここまで複雑になる。
ある病院のカウンセラーに「お父さんには死ぬ権利もあるんですよ」と言われたけれど…。「アナタがお父さんに依存しているのでは無いですか?」とも。
今のテーマは「如何に生きるか、如何に死ぬか」なのでした。難しいねe-351

No:203 2008/12/01 15:07 | Natsu #- URL編集 ]

Re: 嫌われる勇気

当然といえば当然だけど
奈津偉かったねえ。
私はいい加減だから
きっとほっとくなあ。
いい旦那さまと巡り合ったのだなあと
あらためて思います。

No:202 2008/12/01 12:56 | ゆみこ #- URL [ 編集 ]

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