酔っ払い -蕎麦屋-

昨日は、夕方から冷たい雨が降り出した。

どうして…。
私が出掛けようと思うと、雨が降る。

これから、女友達と下北沢の蕎麦屋で落ち合う。
しばらく会っていない。久し振りの再会。

この蕎麦屋、文化学院の先輩夫婦がやっている。
和とモダンの溶け合った、居心地の良い空間。洒落た蕎麦屋だ。この店の出し巻き卵を、私はひどく気に入っている。
勿論、お蕎麦も大変美味しい。


今夜は「呑む」と決めた。
前回も、その前も、ひどい目にあったから。
私一人が運転手。後部座席には、酔っ払いの女が二人。彼女たちと飲む時は、決まって終電などなくなってしまうので、私がそれぞれの自宅まで送って行くことになるのだ。

呑めるのに、呑めない状況って凄く辛い。拷問だわ。
酔っ払いの中に、素面が一人。ちょっと寂しい。
だから、今日は呑むことに決めた。

行き。一人で乗る電車。ここのところ、車での移動が多かったので、ちょっと恐い。電車を降りるとき。車内は空いていたけれど、私の「杖」に気付かない人に押されたらどうしよう。
そんな恐怖心が、電車で出掛ける回数を少なくしてしまう。

無事に、下北沢の駅に着いた。
待ち合わせをしていたRちゃんは、改札口に私の姿を見つると駆け寄ってきてくれる。

改札を抜けて階段を降りる。雨は本降りになっていた。
タクシーをひろうには、茶沢通りまで歩くしかないのだけど、運よく二人の前で客を降ろすタクシーがいた。すかさず乗り込む私たち。5分もせずに店に着く。

先客は、もうカウンターに座ってビールを飲んでいた。
約束をしていたWちゃん。新聞社で編集の仕事をしている。猫をこよなく愛す、独特な個性と愛らしさを持つ女性。

もう一人。
蕎麦屋の奥さん(Tちゃん)の会社員時代の後輩だという、Mちゃん。私たちより二歳、年下。
利発そうな人懐こい笑顔で、「お久し振りです」と言う。
もう20年以上前に最初に会ったらしいのだけど、その時のことはよく覚えていない。けれどTちゃんの結婚式の二次会でお会いした。あの頃と変わらない、若さ。

彼女はお昼を食べにやってきた。13:30に蕎麦屋に着いたのだけど、私たちが来るからと待っていてくれたそう。

「じゃ、これで失礼します」

と言う彼女に、

「まあまあまあ。乾杯ぐらい、して帰りなよ」

そう言って、席に誘った。



ShenryD0.jpg

(写真はイメージです)

PHOTO ST  by Shenry.D

Tちゃんは「蕎麦屋の女将さん」として、お店の仕事をしながら私たちを席に案内してくれた。
四つの席に腰を落ち着けて、先ずはビールで乾杯!
あーん。何て美味しいのだろう。理屈なんてない。空っぽの胃にキューっとしみてゆく。

私は、この店の「出し巻き卵」を、ひどく気に入っている。この店でしか食べられない。

気のおけない仲間と呑む酒の、なんと美味しいこと。

夫が下戸なので、私も何となく呑まなくなってしまった。
けれど、酒呑み相手と一緒に居ると、このグラスが何杯目かだなんて忘れてしまう。

蕎麦屋では、少しは大人しく呑んでいた。
Tちゃんが、お店で大きな声を出さないで!と行く度に言うのでね。

段々とRちゃんのロレツが回らなくなってきた。

大人の女の酔っ払いは、見ていて楽しい。愉快だわ。

蕎麦屋はラストオーダーの時間になって、私たちは店を出された。
四軒隣のバーで待っていて…と。

片付けを済ませてくると言うTちゃんを残して、4人でバーに向かう。

雨は、相変わらず降っている。

下北沢の小さなバーは、久しく来られなかった大人の場所。
車だと呑めないもの。

薄暗い照明に、静かなジャズが流れている。カウンターの後ろに美しく並べられた洋酒の瓶が美しい。

夜はこれから!

Tちゃんが来るまでは、それでも控え目に呑んでいた。
けれど、彼女がテーブルに着くと…一気に賑やかになった私たち。

この時、Mちゃんは蕎麦屋に着いてから9時間は経っていた。

「じゃ。これで本当に失礼します」

と三回くらい聞いた気がするけれど、いいじゃないの、と引き留められて。
一日がかりの、蕎麦喰いだわ…と可笑しいのと気の毒なのが一緒になった気分。

最高だよね。
大人の女たち。底抜けに楽しい、酔っ払い。

22:00は過ぎているけれど、夜はまだ始まったばかり。



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2009/10/25 23:55 | 友達のことCOMMENT(8)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

ゆず様 返信Ⅱ

おゆず様!凄い!成る程ねー!本気で感心していますe-415
教えてくれて有難う!

> 「ホンダのスーパーカブは、この蕎麦屋の出前の片手運転に使えるよう、クラッチレバーを廃した設計とした」

前述のこのコメント、謎かけか?と思っていたのだけど、二通目のコメントでよく分かった!ちょっと感動しちゃうくらいよe-420

そう言えば、落語でも「時そば」ってありますね。(高校時代にやりました)
あれだって、正に屋台(?)ですもんね。
そうかぁ。岡持ち…って懐かしい言葉。

ゆずさんと私、やっぱり「同じ時代」を過ごしたんですねえ…。(嬉しいのか悲しいのか…どっちだろうe-277

No:2135 2009/10/29 01:57 | Natsu #- URL編集 ]

ネットでググッってみました。

ウィキペディアより抜粋

店を構えた蕎麦屋が増えるのは1700年代後半のことと考えられている。
蕎麦は店屋物の代表格だった。ちょっとした客をもてなすために、あるいは年越し蕎麦を一家で食べるために、町内の蕎麦屋から出前を取る風習は古く、江戸時代から見られるものである。このためには岡持ち(おかもち)と呼ばれる取っ手のついた箱型の道具が用いられ、たいていは店の使い走りが蕎麦を出前し、後で丼や蒸籠などの器を引き取りにゆくことが多かった。
戦後は自転車やオートバイを利用することも多く、高く積み重ねた蒸籠を曲芸さながら肩に担いで片手でハンドルを握る姿は、いっとき蕎麦屋の象徴でもあった。
現在、オートバイでは出前機を用いる方法が普通になり、蒸籠担ぎの曲芸はあまり見られなくなった。

ということらしいです、はい。

No:2127 2009/10/27 19:54 | ゆず #- URL [ 編集 ]

daria様

キャー!!!!本当に?
嬉しい、嬉しい、嬉しいよーん。私、酔うとキッスしたくなっちゃうの。だからうまくよけてね☆

うわ!本気でスッゴイ楽しみなんだけどe-415

えっ!じゃ、どこ行く、どこ行く?お台場行っちゃう?
それで、食べた後は日航のBARで!dariaさん、雰囲気でも酔えるよねe-277

考えておいてねんe-273(私は真剣!)

No:2125 2009/10/27 05:20 | Natsu #- URL編集 ]

おゆず様

そうなんですの。お酒が入っちゃうと、無粋な酔っ払いになってしまうんでござんすの。

ところで…。

> 「ホンダのスーパーカブは、この蕎麦屋の出前の片手運転に使えるよう、クラッチレバーを廃した設計とした」

ええ?何?何?おゆず様は博識で…仰る意味が分かりませんのv-356 教えてe-415

No:2124 2009/10/27 05:14 | Natsu #- URL編集 ]

けめ様

おおっ。粋だねー!「蕎麦をたぐる」って、久し振りに聞いた言葉。
けめちゃんも結構、呑める口かしら?蕎麦喰いなのかな?

下北までは、私にとっては大冒険だったのよ!だって、前の日からドキドキしてしまってさv-356 「明日は電車に乗るんだぞ!」って(笑)
ただね、「着いてしまえば、こっちのもんさ!」って…後はアルコールで気が大きくなって…。

人に迷惑を掛けつつも、この夜は更けてゆくの^^;

No:2123 2009/10/27 05:10 | Natsu #- URL編集 ]

そんなに飲めたんだ!@@知らなかった。
奈良漬けで赤くなる私。しょうがない。私が運転手になろう!今度から、飲みなさい。許す。

No:2122 2009/10/27 01:08 | daria #- URL編集 ]

あねさん、いきだねぇ~。

ネットで調べたら、こんなん出ました。

「ホンダのスーパーカブは、この蕎麦屋の出前の片手運転に使えるよう、クラッチレバーを廃した設計とした」

No:2121 2009/10/27 00:24 | ゆず #- URL [ 編集 ]

ん~。飲みながら蕎麦をたぐるって 大人な飲み方ですね。(^_-)
下北まで出掛けて行くパワーにも感心しちゃうわ。v-20
下北って劇場が多い土地柄か、往来の人もお店も個性的な街よね。
気の置けない仲間との時間って、ホント止って欲しいよね。(●^o^●)

No:2118 2009/10/26 21:54 | けめ #- URL [ 編集 ]

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