怒りと悲しみと。

昨日の朝、10:24に父の訪問看護師から電話があった。

「お父さんの様子がおかしいんです。ドアホンを何度も押しても、声はするけど出て来ないんです」

その声は緊急性を帯びていた。

看護師は父のマンションの鍵を持っていないとのことで、私は車で駆け付けた。約、一時間。
彼女は、私が到着するまで他の患者さんのところを回ってくるとのことだったので、私は一人でドアを開ける。

部屋の奥に父の仰向けになった足だけが見える。
私は恐くて、部屋に入ることは出来なかった。

十数分、私は玄関に座っていたと思う。
看護師が到着して、一緒に部屋に入った。

父は仰向けにひっくり返っている。顔は血にまみれていた。サッシの窓は開け放たれ、網戸がはずれている。一瞬、何事が起きたのか、よく理解出来ぬままにその場に立ち尽くした。

看護師の彼女はテキパキと状況を調べている。

ドア越しに返事があったのだから、生きていることは分かっている。
けれど、この惨状はどうしたというのか。

見ると、テーブルの下には焼酎の空き瓶が空になって転がっていた。
事情はすぐに呑み込めた。

出るのは深い溜め息。

せっかく、肺炎から奇跡の生還を果たしたのに。
アルコール依存症の恐さ、残酷さを見せつけられた気がした。


rara.jpg

PHOTO ST  by らら

看護師は父の状態を見て、救急車を呼んだ。
脳梗塞の疑いもあると考えたらしい。

結果。
父は異常なしとのこと。血まみれの顔はどうやら鼻血のようだった。酔ってどこかにぶつけたのだろう。

医師は「頭を打っているので、一日、様子を見て下さい」と言う。
私は父を家に連れて帰った。

帰宅してからの父はまるで別人のようだ。様子がおかしい。
声も、目つきも、顔つきも、動作も…まるで違う。どうしてしまったのだろう。

どれくらい、意識を失っていたのだろう。
例の「せんもう状態」というものなのか。


今日になって、父の訪問介護センターのケアマネージャーから電話があった。

「もう、お父さんのお一人暮らしは無理ですよ」
「医療従事者として、自宅での介護は今後引き受けられません」

予想していた言葉ではあったけれど、やっぱり私にはショックな一言だった。

この奇特な「訪問看護センター」のお陰で、父は一人暮らしを続けられた。感謝しても感謝しても、そのご恩は現しきれない。よくここまで、見て下さった。

施設で暮らす父。想像したくはないけれど、どうにもならないことなのかもしれない。
或いは、同居。

とうとう「この時」がきた。

私の怒りは「老い」に対して。
私の悲しみは「老いの残酷さ」に対して。

この世に生まれ出た「人間」が大抵は経験すること。

この悲しみを乗り越えて、人は生きていかなければならない。
今は胸が苦しいけれど、私は努めて冷静に考えている。堪えている。

今後のことを早急に考えなければ。

夫の人生、自分の人生にも、やがて「老い」はやってくる。


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2009/08/30 00:04 | 父のことCOMMENT(14)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

yumiko様

yumiちゃん、コメント有難うe-415

とにかく病院に連れて行かなければいけないことは分かってる。だけれど、それで「終わり」じゃないのよね…。いつかは退院の時が来て…結局、また同じことで悩むのかと思うと…やっぱり途方に暮れるe-263 
自分のマンションを離れない!と言い張っているけれど、いつかはこっちに拉致しかないのかも。

ね、だけどさ。アンタという人は…。

> しかし、奈津、書くのウマくなったねえ。
> ブログにしとくのはもったいない。
> 火サスか、小説になりそうだ。

何故、こうも冷静?わたしゃ、アンタのこういう感性が好きよ。吹き出しちゃったものー^^;
この他の人とは違う視点!才能あるねーe-460

No:1595 2009/09/01 01:34 | Natsu #- URL編集 ]

鼻血でよかったね~。
お父さんの様子はもとに戻ったのかな?
なつんちの近くに住むっていうのは
同居よりいいかもしれないね。

しかし、奈津、書くのウマくなったねえ。
ブログにしとくのはもったいない。
火サスか、小説になりそうだ。

No:1594 2009/09/01 00:17 | yumiko #- URL [ 編集 ]

Tama様

温かなお言葉、有難うございます☆
Tamaさんのお父様は、脳梗塞だったんですね。でも良かった!「要支援」で済んで!
「楽しんでデイサービスに行く」お父さんで羨ましいです。父は何しろ「自由人」…v-356
年寄りは年寄りらしくしろ…なんて私は決して言いたくありません。けれどね。せめてTamaさんのお父様のように、楽しくデイサービスに行ってくれるような人なら私も悩まないで済むのですが…。

Tamaさんのご指摘の通り!私たちは「共依存」なのです。でも、自覚しているのだから、この連鎖をどうにかしなければ…ね!

タマちゃん達も応援してくれているのだから!やっぱり頑張らなくちゃいけないニャe-465と改めて思う私でした。

お父様、お大事に。
Tamaさんも暑さに負けないでね☆

No:1586 2009/08/31 01:04 | Natsu #- URL編集 ]

はな☆様

ああ~、はな☆さんのコメント、(笑)マークが沢山あって救われますe-415

「頑張ります」と本気で思っているのだけど、かなり逃げ出したい気持ちも本当。訪問看護センターに、手を引かれてしまったことに、私が過剰に反応し過ぎなのかもしれません。

私たち親子は、正に「共依存」。はな☆さんが、どうしてそんなに明るく朗らかに話せるのか…本心から羨ましく思います。

病院には連れて行こうと思います。でも、主治医もケアマネージャーも言います。「お父さんは、一生お酒と縁を切るのは無理ですよ」って。この言葉で、私は絶望しちゃうのですねe-263

イイなぁ。はな☆さんのお義父さん。父も、正しくそんな感じです。きっと癌になっても、お酒は断てないんじゃないかな。「酒は命の一滴」と言っています。

お義父さんと、はな☆さんの関係、理想的だと思います。「目を光らせつつ」一緒に楽しく食事が出来たら…そうか!そのために、「今」を頑張らなくちゃいけないんですね。

はな☆さんの大らかさを見習いたい私でしたe-444

No:1585 2009/08/31 00:51 | Natsu #- URL編集 ]

日日是好日@ゆうこ様

ゆうこさん、心強い応援を有難うe-415

老いって残酷ね。誰にも平等にやってくるものだけど。
「どう過ごすか」で、その人の人生って決まると思うの。
「終わり良ければ全て良し」って言うものね。
「今」は戦っても、最後に「良し」と思える人生を…父にも送って欲しい。勿論、私たち家族もそう過ごせるように。頑張るね!

No:1584 2009/08/31 00:39 | Natsu #- URL編集 ]

daria様

うん、内緒コメじゃなくて良かった!有難う。
だって実は…心がグラグラして、揺れて揺れてどうしようもなくて…。
dariaさんのコメント読むまでは、「約束」のこと、すっかり忘れていた…。もはや「共依存」の何者でもないね。
マッキーさんのお返事にも書いた通り、父の様子が落ち着いたら病院に連れて行くね。

確かに「家族」は崩壊する。このままじゃ。私も8月末提出のはずの原稿は途中で手付かず。この騒ぎでね。

誰をも恨むことのないよう、冷静な対応が必要なのだと思い出した。
いつも本当に有難うe-415


No:1583 2009/08/31 00:34 | Natsu #- URL編集 ]

お父様大変でしたね。

アルコール依存症は、周りの人を巻き込み共依存にさせてしまうと聞いています。一滴でも入るといけない人がいるらしいですね。というのも知り合いに、以前、アルコール依存症から立ち直った人がいました。

私も父が脳こうそくで倒れたときに、親の老いを感じ、手助けが出来ない自分に苛立ちを感じました。幸いに、言語障害が多少あるのみで、要支援ということで、週に一度デーサービスに行って楽しんでいます。

奈津さんにとって、とてもつらい決断になると思いますが、ここで、みんな応援してるから、がんばってくださいね。。 

うちの猫たちも応援しています。

No:1582 2009/08/31 00:09 | Tama #TjCvSSL6 URL [ 編集 ]

マッキー様

気分を害すだなんて、とんでもない!
誰かに聞いて欲しくて…とても自分の胸にしまっておけなくて書いてしまったことなので、マッキーさんのコメント、凄く嬉しかったよe-415

そうなの。アルコールにも自助グループと言うのがあって、父はそういう所に通うべきなのだけど…「自分はアルコール依存症じゃない」と言うので、事態を更にややこしくしていますe-263

本当にね…施設といっても、入所金の500万円なんてすぐに用意出来るはずないし…探しても「明日からどうぞ」という訳にもいかないだろうし…。

こうなると、悪運強い父の「運」を、もっと良い方に使ってくれればな…と思う。
取り敢えずは病院しかないのだろうか。あれだけ強く拒否されると、こちらも決心が揺らぐのだけど…父の様子が落ち着いたら、とにかくアルコール外来のある病院に連れて行きますね。

聞いてくれて有難うe-415

No:1581 2009/08/30 23:11 | Natsu #- URL編集 ]

ゆず様

こんにちは!初のコメントを有難うございますe-415

そうですか…ゆずさんのお家も大変なのですね。よく妹さんがそこまでして下さって、お父様は幸せな方ですね。

我が父も、デイサービスには死んでも行かないタイプです。施設入所も、「そんな所に入るくらいなら逃亡する!」と滅茶苦茶なことを言っています。途方に暮れます。

お母様のこと、驚かれたことでしょうね。父は肺炎からは生還したのですけれど、アルコール依存症という病気が厄介です。

私の夫も障害者です。ゆずさんのように…ヒョウヒョウと生きていかれるように…物事を考えられるようにならないと、この先やっていかれないですね。
本当に貴重なご意見を有難うございました☆

No:1580 2009/08/30 22:55 | Natsu #- URL編集 ]

元気出して!

奈津さんのお気持ちお察しします。

実は私の回りはそんな人だらけなんですよ(笑)
私の亡くなった父も、私が物心ついた頃からアルコール依存だったので状況がよくわかります。外でお酒を飲んでは怪我をしたり、DVもあったし。お酒を飲まなければとても温厚で良い父だったので、何故そんなことになるのか理解できませんでした。晩年は肺ガンを患い自然に飲めなくなりましたが、父方の叔父も全員大酒のみでしたよ(笑)何で?(爆)

亡くなった義父も義母が亡くなってから酒量が増えて、毎日朝から8合のお酒を飲んでたんです(笑)私たちがそばに居ても母のいない寂しさをお酒で紛らわしていて、夫も私も最初は言いましたが聞かないので好きにさせていました(笑)食道癌になってからも退院しては「お酒が飲めたら大丈夫♪」と言っては嬉しそうに飲んでましたのでもう笑うしかない。昭和一桁って時代もあって、多いんですよね。

お父様、歩いて行ける距離に住むということはできないのでしょうか?
義父はすぐ近くに住んでいて夕食を一緒にして、しょっちゅう行き来してました。私も目を光らせてましたしね(笑)

No:1579 2009/08/30 22:44 | はな☆ #- URL [ 編集 ]

そっか

私には、お父さんの現実が見えてないよ、ごめん
だけどね、なっちゃんが選択する「今」を応援するから!!
見極めてね、しっかりね

No:1577 2009/08/30 17:29 | 日日是好日@ゆうこ  #SFo5/nok URL編集 ]

みてるよ。

とりあえずは、何ともなくて良かった。話し合ってきたとおり、次の手。
お父さんとの約束を守っていかないと、皆が倒れるよ。お父さんは、病気。守れぬ約束を責める必要はなくてもね、Natsuさんは、自分の心との約束だったはず。それはNatsuさん次第。
この訪問看護がなければ……次の道はおのずと見えるね。抱え込んでできることとできないことの見極めしないと、自分の生活もある。自分の生活は、Natsuさん一人のものじゃないよ。
このひと月、ふた月が、Natsuさんに与えられた猶予だったはずだから、大丈夫だよね。
しっかりがんばれ。どうするにしても、はらくくってね。なにか手が必要なら、いつでも。
そう思ってるのは、私だけじゃないと思う。SOSも出して、耳も傾けて。
ここに書くということは、皆が見てる。見守ってる。根性出すために書いたんだよね。
だから私も内緒にしなかった。私を含む、みな通っていく道。がんばろう。

No:1575 2009/08/30 13:02 | daria #- URL編集 ]

Natsuさん、ビックリしたでしょう?もしかしてって…。
文章がリアルで、私までドキドキしてしまいました。
「老い」もそうだけど、お父様の場合、アルコール依存症の支援団体か何かに相談できないのかな?
お父様がそういう所を受け入れてくれなければダメだけど…。
Natsuさんのほうがその辺のところは既にお勉強されていて、色々知ってみえると思うけど。
施設に入るか同居するか。どちらにしても、Natsuさんや旦那さんの心が穏やかでいる為には、依存症のほうを少しでも軽くできたらいいのにね…。
気分を害されるような意見だったらごめんなさい。

No:1574 2009/08/30 12:02 | マッキー #69Ur9rbI URL編集 ]

お父さん、大変でしたね。
でも鼻血だけでよかったですね。

うちの親父も今年「米寿」になりました。
今は妹宅で面倒みてもらっています。

阪神大震災で実家が全壊して、仮設住宅に住んでいるとき、「心筋梗塞」で倒れました。

それまで(前日まで)、奈良県の大台ケ原や金剛山などに登山に行っていたほど元気だったのですが、それ以降めっきり弱ってきました。

3年前に母が「間質性肺炎」で入院4日目で急死しました(前日までディサービスを受けていたほどでしたが)

それもあってますます足腰が弱って、月に一度の病院通いも大変なので、手助けは出来ませんが車の運転だけは出来ますので私が病院まで妹と親父を送り迎えしています。

ただ、親父は母親と違って「人付き合い」は苦手で「ディサービス」も受けてくれません。
もちろん、介護師さんも嫌がりますので妹一人が面倒を見ています。(トイレやお風呂)

ケアマネージャーとも相談しているのですが、こればかりは本人次第なので困っています。
足腰は大分弱っていますが、さすがに南方戦線での体験があるので胃腸は丈夫です。

本当に「先のこと」を考えると「自分のこと」(相方も障害者です)も含めて、明るい未来は見えませんが、
成るようにしかならないと考えて、ヒョウヒョウと生きるようにしています。

No:1573 2009/08/30 11:27 | ゆず #mQop/nM. URL編集 ]

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