「雨ニモマケズ」

今日、夫婦で父の病室を訪ねると、父は自分のベッドで静かに本を読んでいた。

私達夫婦の姿を見て、驚いている様子。でも嬉しそうな笑顔絵文字名を入力してください

談話室で話す。いつも私が真ん中。私を挟むように、主人と父が座る。最近、このコンビがかなりイケていることに気付いた。
父と私の二人だと、父の我が儘が出て険悪な雰囲気になったりする。けれど「主人」という緩和剤が入ると、愉快で楽しい時間になる。天然?なのだ。主人は。決して「受け」を狙っていない。

大真面目に、初歩的な歴史の質問を父にする。
父は一瞬、きょとんとした顔になって…

「M君、それ、真面目に聞いてるの?」
そう言って、吹き出す。そうすると、最近では笑いが笑いを呼び、三人で大笑いになるのだ。

そして父が言った。
「チミモウリョウって漢字、書けるか?意味は知っているか?」

主人は、さぁ…と首をひねる。
私は「はい!」と手を挙げ、意味を答える。でも、漢字までは書けなかった。

父は「そう!意味はその通り!『山の怪物や川の怪物。 様々な化け物、妖怪変化』で合っている。漢字はな、難しいようだが、全て鬼という漢字がつくんだよ」

へえ~。成る程。意味を解釈すると、漢字も覚え易いのだと教えてくれた。

「ところでだ!おとんは、いつ退院出来る!?」

又、いつもと同じ質問だ。

「一年後ですね」

主人がそう答えると、同時にギョ!っとした表情の父。
すると…ピン!と来たらしい。

「Mくーん。ワハハハハ!」

洒落の効いた父と、感性が似てきつつある夫。
酒と女性と自由を愛する父。

                

美女 

                                        (こちらの方は男性ですが…)

ああ、面白い。愉快だ。
そんな不真面目な私達の会話をよそに、入院患者の皆さんの「合唱」が聞こえてきた。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」…。


「雨ニモマケズ」

雨にも負けず

風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫なからだをもち


慾はなく

決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり

そして忘れず

野原の松の林の陰の

小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば

行って看病してやり

西に疲れた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず

そういうものに

わたしは

なりたい


心に染み入る、いい詩だ。私はこの詩が大好きだ。

主人はともかく、この詩と対極にある私達親子にとっては「耳の痛い」詩なのだけれど…ね。





2008/10/30 00:32 | 父のことCOMMENT(6)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

まきまきおねこ親分猫様だぞ!様

まきまき親分!blog、初コメント、有難う~v-343

>「自分の事を感情に入れず」って読んでしまって。
> 先生が「勘定」です! だって。

アハハ!分かる~!自分の気持ちが出てしまったのね。
今日からいよいよ11月ですな!戦いの11月。「表現&自分」と戦う11月。楽しみですe-241 今は台本を持ち歩いている私。

「雨ニモマケズ」はね。耳にした瞬間!「長岡輝子先生」を思い出したの!そうしたら、自然と一緒に合唱していました。懐かしかった~。この詩を聞くと、学院生活が甦るよ~。
長岡先生は「アンメニモマケズゥ、カンゼニモマケズゥ」…と正しい方言で表現されます。

因みに、昨日の「猫のいる生活」は、向田作品を読んでいて「向田さんは猫と仲良しね。あら?我が家は?」と思い、エントリーしてみましたのe-251
飼い主によるのかしら?

No:88 2008/11/01 13:52 | Natsu #- URL編集 ]

Re: 「雨ニモマケズ」

あはは。この詩は明るく朗読せよと、先日先生から駄目だしがでました。
しかも、いろいろ考える事があり、
思わず仕事が立て込んでいて、よからぬことを考えていたらさ、
「自分の事を感情に入れず」って読んでしまって。
先生が「勘定」です! だって。
もう自分が自分で可笑しくって笑ってしまった。
どんな詩でも、まず、明るくとらえてみる♪
明るく歌ってみるのもいいかもね~。とにもかくにも、命ある限り、明るい方へ進む進む。

いよいよ11月!公演が終わるまでブログには立ち寄らず「いろんな事を感情に入れず」演出面で駄目だししていきますから、偉そうで申し訳ないけど、どうぞヨロシクね★

No:85 2008/11/01 08:58 | まきまきおねこ親分猫様だぞ! #- URL編集 ]

yumiko様

> 猛獣か?

欧米か?…違うかi-280
アンタ…宮沢賢治から「樹々のような人」を想像するのは分かるとしても…何で私が猛獣よ!
アンタはんは…ほんまの私を…まだよう知らんのやわぁ。(何故か京都弁)ワハハ。

No:83 2008/11/01 00:29 | Natsu #- URL編集 ]

daria 様

嬉しい!やーっとdairaさんに会えた!今、blogにお邪魔してきましたv-343(URL、バッチリでしたよ)
本当に本当に嬉しいのです。だって、blogを通して初めてお友達になった方、第一号さんなんですもの!
dariaさんのお母様に対する思い、私が父に抱いている思いと似ているなぁって勝手に想像しました。

そして…「人はみな孤独なんだ」と…いうコメント。基本的にはそうなんだと思います。
人は一人では生きていけないけれど…ただ、その人の自由を奪う権利も無いと思うと(父の事なのだけど)、まだまだ割り切れない私がいます。だけど、放ってもおけないし…ねぇ。

賢治の詩、本当に私と対極なんですのi-230多分、これから「Natsu」を知るにつけ…私の正体もバレてしまうと思います。アハハ。

本当に「blogやってみて良かったなv-352」と思えるdariaさんとの出会いです。
これからも宜しくね☆

No:82 2008/11/01 00:21 | Natsu #- URL編集 ]

Re: 「雨ニモマケズ」

寒いよ~(気温が)
雨にも負けずは、なんとなく
樹木のような人を想像して
あまり好きではありません。
なんか今
だから奈津が好きなのかあと
すごく納得してしまった。
猛獣か?

No:81 2008/10/31 22:14 | yumiko #- URL [ 編集 ]

Re: 「雨ニモマケズ」

ご主人とお父さん、緊張感がない関係なんですねぇ。
いいな~。うちはね、まだお父さんを怖がってる(笑)

雨ニモマケズ、読むたびに胸が痛くなります。
近頃ようやく、人はみな孤独なんだと(ひとりで生まれ一人でゆく。浄土真宗ですけどね)受け入れられた気がします。孤独が基本なら、寂しくないっていうか。私ひとり、望まれるようにできない、どうしようもないだめな独りぼっちかと思って長いこと悲しかったけれど。
賢治の詩、一見地味でまじめな気がするけど、あるがままの無理しない、不思議にこの世に生を受けた自然に素直な自分でありたい。って・・・そんな気がする。
詩と対極っていうけど、キラキラしたものをめざすNatsuさんも、Natsuさんらしいあるがままですよ!OKですとも!私も、私らしく素直になりたい。
URLこれでいいのかなぁ。不安だ~(機械音痴、泣)長々ごめんなさい。

No:79 2008/10/31 21:52 | daria #- URL編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |